世の中に必要不可欠な業界といえば、何を思い浮かべますか?
いろいろありますが、実は「物流」もその一つ。
お店に並んでいる商品や、今着ている洋服など、すべてのモノは物流によって私たちの手に届くのです。
そんな、社会に必要とされている業界で仕事したい!と思っている方は必見です。
この記事では、人手不足で需要の多い「物流事務」のお仕事について、給与面や、就職するためのアドバイス、仕事が覚えられない時の対処法までお伝えしていきます。
リアルな「物流事務」を知って、就職活動の参考にしてはいかがでしょうか。
物流事務は向いていないと長くは続きません。
向き不向きは性格診断テストで調べることができます。
応募する前に必ずチェックすることをおすすめします。
物流事務の給料や平均年収はいくら?
就職先を考えるうえで気になるのが、やはり「給与」ですよね。
物流管理(物流倉庫内の作業全般を管理する仕事)の一般的な年収は約450万円。
月ベースでは約37万円のようです。
一方、一般事務の平均年収は約330万円と事務になるとかなり下がる印象です。
実際に私が働いていた会社ではこんな感じでした。
【例】
入社1年目 月20万円 年収320万円くらい
入社5年目 月26万円 年収350万円くらい
入社13年目(係長) 月35万円 年収490万円くらい
※手取りではなく、総支給額です。
私の勤務していた会社は、そこまで大きな会社ではありませんでしたので、そこそこの金額ですね。
一人暮らしをしている人は、家賃や水光熱費、食費などを自分でやりくりするため、貯金するのはなかなか難しそうだなぁという感じでした。
所帯を持った場合、子どもも育てていくとなると、かなり昇進するか共働きでないとキツイなーという感覚です。
大手企業になれば、給与面も恵まれているのかもしれませんね。
物流事務は給料安い?
物流業界というと、なぜか給与が低いイメージを持たれがちですが、実際はどうなのか調べてみました。
事務職の平均年収は329万円程ですが、種類ごとに少し違うようです。
・貿易事務:366万円
・翻訳:344万円
・秘書:337万円
・一般事務:328万円
・営業事務:323万円
・医療事務:289万円
※参考:転職サイト比較プラスより
これは一例ですが、物流事務は一般事務に当てはまりますので、だいたい平均値ですね。
物流事務だからといって、特別給与が安いということはなさそうです。
しかし、実際に他の仕事をしている友達と話していると、うちは低いのかなーと思うこともあります。
比べる相手が悪いのかもしれませんが、公務員の友だちと比べた時は、月収もボーナスも全然違っていて驚いたことがあります。
他と比べてしまうと差を感じることもありますが、業務内容も違えば、任されている仕事の責任の重さなども全く違います。
比べてガッカリするのではなく、今の待遇をいったん受け入れてより仕事を頑張っていくきっかけにしてはいかがでしょうか。
物流事務のボーナスや退職金はいくら?
物流事務のボーナスは、世の中の平均より少し低いです。
ボーナス支給額の平均は、「毎月勤労統計調査 令和元年9月分結果速報等」という厚生労働省の統計によると、約38万円となっています。
業界別でみると「運輸業」は約36万円、新入社員のボーナスは大学卒で20万円となっています。
まだほとんど仕事も任されていないうちから20万円もらえるなんて、とてもありがたい話ですよね。
では、物流事務のボーナスの実態はどうでしょうか。
私が勤務していたころに頂いたボーナスは、だいぶ昔のことなので正確には言えませんが、だいたい20万円前後と、一か月分出ればいいかなぁという感じでした。
新入社員の頃は一か月分に満たない額でしたね。
でも、ボーナスはもらえるだけありがたいと思っていたので、夏と冬の支給時期には、まず「今年は出るのかな」ということが、社員の間では囁かれていました。
勤めている会社の業績によって左右される「ボーナス」は、もらえるのを当てにしているとガッカリするかもしれませんので、もらえたらラッキーくらいに思っておくと、うれしさも倍増ですよ。
次に、退職金について、これも私の体験談となりますので、定年退職まで勤め上げた方の実際の体験談や金額については書くことができないのですが、一般的な平均と業界平均との比較を調べてみました。
私は6年目で退職していますが、そのときの退職金は約23万円でした。
そこまで会社に貢献できずに辞めてしまったのに、退職金が頂けたことに驚いたのを覚えています。
では、定年退職まで勤め上げた場合の相場はどうなっているのでしょうか。
厚生労働省の統計「賃金事情等総合調査(令和元年)」ではこのようになっています。
・大企業(資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上)の場合は大学卒で約2290万円、高校卒で約1859万円
・中小企業の場合は、大学卒で約1119万円、高校卒で1031万円
・業種別では、運輸業は大学卒で893万円、高校卒で822万円
会社の大きさによってもだいぶ差がありますね。
業種別にみると、物流の業界はやはり少し下がる印象です。
ですが、これからますます需要が高まる業界ですので、今後上がっていく可能性もあります。
一つの会社で勤め上げるというのはとても大変なことですが、自分の仕事に誇りをもって働いた先には、金額以上のものを得られるのかもしれません。
物流事務のメリットデメリットについて
物流事務のメリットは2つあります。
一つ目は「世の中のモノの流れや仕組みについて詳しくなる」ことです。
お店に並んでいる商品一つ一つが、メーカーで作られて倉庫に運ばれ、仕分されて店舗に届くという一連のモノの流れが、実感を持ってイメージできますし、どのようにモノが動いて私たちの手元に届くのか、物流倉庫内での細かい仕組みまで具体的に知ることができます。
私は物流会社の情報システム部門で働いていましたが、物流倉庫で商品がピッキングされ、検品され出荷されていく、それぞれの工程で行われる仕事の数々を、実際に現場に赴いて見て、より効率的なシステムを作るために考えることで、より深く知ることができました。
世の中のモノの流れや仕組みを知ることは、自分の生活を豊かにすることでもあります。
今、手に取っている商品が多くの人の仕事によって届けられていることを知ると、自然と感謝の気持ちが湧いてきます。
物流事務の仕事をしていく中で、少しだけそのお手伝いができたと実感することができました。
二つ目は「人間関係を築くのが上手になる」ことです。
物流事務の仕事では、多くの人と関わります。
同じ職場の同僚はもちろん、ドライバーさん、倉庫で働く社員やパートさん、出入りする業者さん…そのそれぞれの方と上手にコミュニケーションを取りながら、円滑に仕事を進められるようにするのが、物流事務の仕事の一つでもあります。
そんな仕事をしていると、自然と他の場面でも、良い人間関係を築くことができるようになり、自分でも驚くことがあります。
より良い人間関係は、良い仕事を生みます。
反対にデメリットも2つあります。
一つ目は「イメージがよくない」ことです。
以前に比べるといくらか良くなったかもしれませんが、物流と聞くと「荒々しいトラックの運ちゃん」のイメージを持たれる方が多く、物流会社で働いていると言うと、大変そうだね、大丈夫?と思われることが多いです。
二つ目は「待遇があまりよくない」ことです。
これはそれぞれの企業によるところが大きいですが、違う業界の友だちと給与の話をしていて、うちは低いな…と思うことが多くありました。
物流は365日24時間体制なところも多いので、休日も仕事が入ることがありますが、それでも給与面ではまだまだ良いとは言えないと思いました。
また、物流倉庫で働く物流事務では、倉庫自体の環境が良くない場合もあります。
夏は暑く冬は寒かったり、埃っぽかったりすることもあります。
物流事務の仕事を覚えられない時の対処法
入社した後、実際に仕事を始めてみて、なかなか覚えられなかったらどうしよう…
そう心配している方もいると思います。
でも大丈夫です。
はじめは誰でも不安になりますが、以下のポイントを押さえて、先輩社員から素直に学ぶ姿勢を持っていれば、仕事はできるようになりますよ。
・とにかくはじめはメモを取る
入社したばかりときは、知らないこと、経験したことのないことの連続です。
まずは、教えてもらったことをメモし、それに沿って仕事をしていくことで、だんだんと慣れてスムーズに仕事を進められるようになります。
がんばって頭で覚えようとしても、緊張していますしなかなか難しいです。
メモを取れば、後で見返して復習することもできます。
先輩社員にも、メモしている姿でちゃんと聞いていることが伝わりますので、ぜひ実践してみてください。
・何回も繰り返して、体に叩き込む
何事も経験に勝るものはありません。
教えてもらったことを、たとえ失敗しても何回も繰り返しやってみて、体に覚えさせていきましょう。
そうすると仕事に慣れてきて、もっと効率よくするにはどうしたらいいのかなど、先のことを考えることができるようになります。
失敗を恐れて何もしないよりも、思いきってやってみると、断然仕事を覚える早さが違いますよ。
・目的やつながりを意識する
仕事を与えられたとき、その仕事は何のためにやるのか、次にはどんな仕事が待っていてどう繋がっているのかを意識して行うことで一連の流れとして仕事を覚えやすくなります。
その仕事だけを切り取って、点として覚えようとするとたくさん覚えることがある気がしてきますが、点と点を結んで線として見てみると、全体像が見えてきて、たとえ何かイレギュラーが起こったとしても、応用が効くようになり、きっと先輩からの評価も上がりますよ。
・分からないことをそのままにしない
分からないと思ったとき、聞くのは勇気がいりますよね。
でも、分からないことをそのままにしていて、何か間違ってしまったときはもう後戻りできないかもしれません。
教えてくれる先輩社員も、分からないまま仕事をされるよりは、聞いてきてくれる方がいいはずです。
もちろん、自分では何も考えずに何でもかんでも聞いていては、成長につながりません。
考えてみても分からない、どっちにすればいいか迷っているといった場合は、その過程も先輩社員に伝え、アドバイスを求める形で聞くと相手も答えやすくなりますよ。
物流事務の面接のポイントとは
ここでは、物流事務の仕事に就きたい方に向けて、面接のポイントをお伝えしていきます。
あくまで、私が面接官だったらこういう人を取りたいという目線でのお話になりますが、採用関連の仕事も経験がありますので、少しでも参考になればと思います。
・業界の知識よりも、経験や人柄
もちろん、物流への知識や熱い思いを語ってもらうのもいいのですが、それよりも重視するのは、「経験」や「人柄」です。
学生時代にどんな経験をして何を学んできたのか、それを今後どう生かしていけそうなのか、そういう生の体験を聞かせてもらうと、この人を採用したときにどういった形で会社に貢献してもらえるのかということがイメージしやすくなります。
また、話し方や立ち居振る舞いでその人の「人柄」も分かります。
だからといって変に飾る必要はないです。
いつも通り、自分らしく面接に臨んでもらえればいいと思います。
・コミュニケーションがやはり大事
物流事務には「コミュニケーション力が必須」であることはこれまでもお話してきました。
面接においても重視するのはここだと思います。
個人面接でも集団面接でも、周りの人や面接官と自然にコミュニケーションが取れ、話が弾むような人であれば、会社側も採用したいと思えるのではないかと思います。
暗く、モゴモゴと話して目も合わせない人よりも、明るくハキハキしていて、自分の主張もあるけど周りの意見も聞いて上手く話をまとめていく人の方がいいですよね。
・この人と一緒に仕事したいなーと思わせること
いろいろ書いてきましたが、最終的には「この人と一緒に仕事したい」と思わせることが大事です。
あなたが一緒に仕事したと思えるのはどんな人ですか?
逆の立場からそれを考えてみて、自分の中にあるもので勝負してみてください。
自分の中に無いからといって、変に演じる必要はありません。
あくまでも自分らしく、面接官に自分の良いところを見てもらい、そのままのあなたを受け入れてもらえれば、その後働いてからのギャップを防ぐことができますし、職場になじむことができますよ。
面接は、会社側が採用する人を選ぶ場ですが、面接を受ける人が会社を見る場でもあります。
この会社は自分に合っているのか、それを見極めようという視点で臨むと、そこまで緊張せずに自分の力を出すことができるかもしれませんね。
物流事務の志望動機の例文
ここでは面接や履歴書で必要とされる志望動機の例文をご紹介します。
私は学生時代、コンビニエンスストアでアルバイトをしていました。そこで、商品が運ばれてくる流れや物流の仕事を少し知ることができ、興味が沸きました。物流業界は、今の世の中になくてはならない存在であり、その中でも貴社の大きな特徴である宅配部門は、これから需要がどんどん増えてくることが考えられます。そして、お客様との関わりを一番に考える、貴社の「お客様第一主義」の理念に共感し、今回志望致しました。学生時代のサークル活動やボランティア活動で培った「コミュニケーション能力」と「誰かのためになることをしたいという心」は誰にも負けません。貴社で物流事務として、これからの事業拡大に裏方から貢献していきたいと考えております。
と、こういった内容も参考にしてみてください。
まとめ
物流事務の給与はそこまで低い水準ではありませんが、ボーナスや退職金は、他の業界に比べると少し下がります。
そして仕事面に関してですが、仕事を覚えられないときは、「メモを取る」「何回も繰り返して体に覚えさせる」「仕事の流れや目的を意識する」「分からないことをそのままにしない」ことが大事です。
また、面接では「この人と一緒に仕事したい」と思わせることが成功の秘訣です。
物流事務の待遇は、世の中のイメージほど悪くはありません。
自分の頑張りによってはもっと高い給与をもらえるようになるかもしれませんし、金額以上のものを得ることができます。
入社してみて、仕事が覚えられない!と焦る必要はありません。
努力していれば、必ず周りも見てくれていて、助けてくれますよ。
面接で自分の思いを全てぶつけて、物流事務の仕事をゲットしましょう!