「トラック業界でよく聞く“追っかけ”って何のこと?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「追っかけ」とは、主に鮮魚や青果など、生鮮品を別便に続いて配送する特殊な運行形態のこと。
スピードと正確さが求められる反面、一般的な貨物配送とは違ったやりがいや働き方があるのも特徴です。
この記事では、
- 「追っかけ」という言葉の意味と背景
- 実際の仕事内容と1日の流れ
- 求められるスキルや注意点
- 向いている人の特徴やキャリアの活かし方
などを、未経験の方にもわかりやすく解説していきます。
運送業界に興味がある方、転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
『追っかけ』とは何か?トラック運送業界での意味
トラック業界における「追っかけ」とは、主に生鮮食品(鮮魚や青果など)を先行する便のあとを追って配送する特殊な運行スタイルを指します。
これは、スピードと鮮度が求められる食品輸送において効率的な物流体制を支える重要な役割です。
用語の起源・語源
「追っかけ」という言葉は、芸能人などを追いかける“ファン活動”の意味でも知られていますが、運送業界では「前を走る先行便のあとを追って、同じルートや目的地へ商品を届ける便」として使われています。
例えば、最初の便が大量の商品を運び、そのあとを追いかけるように次の便が追加分や別の商品を積んで走るため、こうした通称が定着しました。
運送対象と目的(鮮魚・青果など)
「追っかけ」が最も多く見られるのは、生鮮品を取り扱う市場やスーパーへの配送業務です。
これらの品物は、
- 鮮度が命であり、スピードが最優先
- 一度の配送では対応しきれない物量がある
- 朝の開店や市場の取引時間に合わせて複数回配送が必要
といった背景から、一度の配送では完結せず「複数便」で対応するケースが一般的です。
その際、後発便として出発し、先発便の補完を行うのが「追っかけ便」の役割となります。
『追っかけ』便の特徴とスケジュールの実情
「追っかけ」便は、一般的なトラック配送とは異なる特殊なスケジュールと運行スタイルを持っています。
生鮮品などの時間にシビアな荷物を扱うため、柔軟性とスピードが求められる現場です。
早朝・深夜配送の多さ
追っかけ便は、市場の開場や店舗の開店時間に間に合わせることが前提となるため、早朝や深夜に出発することが多いです。
先行便の到着後すぐに「追っかけ」として到着し、スムーズに荷下ろしを行うためには、正確な時間管理と交通状況の把握が欠かせません。
- 市場への納品:深夜1〜3時に出発 → 早朝納品
- スーパー・小売店への納品:早朝5〜6時着 → 開店前搬入
このように、生活リズムが一般の勤務とズレやすい点は、追っかけ便の大きな特徴です。
鮮度保持とスピード重視の業務内容
生鮮食品を扱う追っかけ便では、鮮度が品質に直結するため、スピードと慎重な温度管理が不可欠です。
荷物の積み下ろしや運搬中も、以下のような注意が求められます。
- 冷蔵・冷凍の温度帯の維持
- 荷崩れや破損防止のための固定作業
- 到着後すぐに荷受けされるように段取りを調整
これらの業務は、単なる運転業務だけでなく、繊細な気配りと責任感も求められる現場となります。
他の運送便との違い(一般貨物便など)
一般的な貨物配送では「積み込み→配送→終了」という1回完結型が多いのに対し、追っかけ便は「先行便に続く配送」や「複数回のルート配送」が前提になることがあります。
そのため、
- ルートの柔軟な変更対応
- 複数拠点での積み下ろし
- 到着時間の調整
といった柔軟な対応力が重視されます。
また、一人ではなく複数のドライバーや事業者が連携して物流を支える場面も多く、チームワークや情報共有も重要なスキルです。
『追っかけ』で働くドライバーに求められるポイント
「追っかけ」便は、通常の配送よりも時間と品質の管理が重要となるため、ドライバーにも特有のスキルや意識が求められます。
ここでは、「追っかけ」便を担当するうえで必要とされるポイントを紹介します。
時間管理・スピード配送への対応力
追っかけ便では、「何時までに必ず到着する」という納品時間の厳守が最重要です。
そのためには、
- 出発時間に遅れない
- ルートを正確に把握しておく
- 渋滞や天候などへの事前対策を行う
といった高い時間管理能力が欠かせません。
スピード重視とはいえ、安全運転が大前提です。
焦らず、しかし確実に時間通り届ける力が求められます。
荷扱い・温度管理・荷崩れ防止などの注意点
生鮮食品や傷みやすい商品を扱う追っかけ便では、丁寧な荷扱いと輸送環境の管理が不可欠です。
具体的には、
- 冷蔵・冷凍車の適切な温度設定
- 商品の種類に応じた積み込み順序
- 急ブレーキや急発進を避ける運転技術
などが求められます。
これらを怠ると、納品先でのトラブルや信頼失墜につながるため、プロ意識を持って対応する必要があります。
体力・生活リズムの負担と対策
追っかけ便は、早朝や深夜の勤務が多いため、体内リズムの乱れや睡眠不足のリスクもあります。
- 睡眠時間をしっかり確保する
- 食事や休憩を計画的に取る
- 繁忙期には疲労が蓄積しやすいため、無理をしない
といった自己管理が非常に重要です。
また、運転時間が長くなる場合もあるため、腰や肩の負担、ストレス対策として定期的なストレッチやリフレッシュもおすすめです。
『追っかけ』便の求人・働き方のメリット・デメリット
追っかけ便は特殊な働き方である分、一般的な配送業務とは異なるメリットとデメリットがあります。
ここでは、実際に追っかけ便の仕事を検討する際に知っておきたいポイントを整理します。
メリット(高収入・経験を活かせる)
- 高収入が期待できる
早朝・深夜の勤務やスピードが求められる仕事のため、割増賃金や手当がつくケースが多いです。
経験を積んで効率的に動けるようになれば、安定した高収入も見込めます。 - 運転技術や時間管理能力が評価される
タイトなスケジュールの中でも安全かつ正確な配送ができる人材は、業界内でも重宝されます。
キャリアアップや独立を目指す上でも有利になるスキルが磨かれます。 - 市場や店舗など、配送先との人間関係が築ける
頻繁に同じ配送先に行くことが多く、取引先との信頼関係を築きやすい環境にあります。
デメリット(時間帯・休日の難しさ)
- 不規則な勤務時間
深夜や早朝の出発が基本となるため、生活リズムが崩れやすく、家族との時間が合わないこともあるのが難点です。 - 休日が固定されにくい場合がある
特に繁忙期(年末年始・大型連休前など)は、休みが取りづらいこともあり、プライベートとの両立が難しいと感じる方もいます。 - 体力・精神的な負担が大きい場合も
温度管理や時間管理、繊細な荷物の取り扱いなど、一つ一つの業務に高い集中力と体力が必要とされるため、慣れるまでは大変に感じるかもしれません。
求人票で確認すべきポイント
「追っかけ」便の求人を探す際は、以下の点をよく確認しましょう。
- 出勤・退勤時間、拘束時間の長さ
- 割増賃金や手当の詳細(深夜手当・無事故手当など)
- 休日日数やシフトの柔軟性
- 積み荷の内容やルートの具体性(不明瞭な場合は要注意)
特に「仕事内容があいまい」な求人には注意が必要です。
実際にどのような業務を行うのか、事前に問い合わせる姿勢も大切です。
まとめ
「追っかけ」便は、トラック業界の中でも特殊な働き方ではありますが、スピードと正確性が求められる重要な役割を担っています。特に生鮮品や時間指定配送の現場では、欠かせない存在です。
一般的な配送とは異なり、早朝・深夜勤務や厳密な時間管理、丁寧な荷扱いが求められるため、体力や集中力、そして柔軟な対応力が必要になります。
その一方で、割増手当などによって高収入が狙えたり、業界内での信頼やスキルアップに直結するなど、キャリア的なメリットも大きい働き方です。
時間に対する責任感が強く、変則的なスケジュールにも対応できる方、スピードと正確性を武器に働きたいという方には、まさに向いている業務と言えるでしょう。
トラックドライバーとしての経験をさらに活かし、キャリアの幅を広げたい人にとって、「追っかけ」便は挑戦する価値のある選択肢です。
