ネットの評判やSNSでのネガティブな意見を目にして、不安や迷いを感じている方も多いのではないでしょうか。
せっかく大きな買い物をするのだから、後悔のない選択をしたい——その気持ち、よくわかります。
この記事では、ディーゼル車が“やめとけ”と言われる理由と、その一方で見落とされがちなメリットについて、プロの視点でわかりやすく解説していきます。
あなたのライフスタイルにディーゼル車が合っているのか、この記事を読めばきっと答えが見えてくるはずです。
ディーゼル車はやめとけと言われる理由
「ディーゼル車って、やめといた方がいいのかな?」 そんな不安や疑問を抱えている方は少なくありません。 購入を検討している中で、マイナスな情報ばかり目にすると、心配になりますよね。 ここでは、なぜ“やめとけ”と言われるのか、その理由を具体的に解説していきます。
ディーゼルエンジンの維持費が高い
ディーゼル車はエンジン構造が複雑で、ガソリン車に比べてメンテナンス費用が高くなりがちです。以下は、主な維持費がかさむ要因です。
項目 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
エンジンオイル交換 | 汚れやすく頻度が高い | 5,000〜10,000円/回 |
燃料フィルター交換 | 不純物がたまりやすい | 10,000〜20,000円/回 |
ターボチャージャー修理 | 故障時は高額になる | 100,000円以上 |
インジェクター清掃・交換 | 燃料噴射装置の劣化 | 30,000〜80,000円 |
定期的なメンテナンスが欠かせず、修理費も高くつきやすいため、トータルコストがかかりやすいのが実情です。
DPF(ディーゼル微粒子フィルター)の詰まり問題
DPFは排ガスに含まれるスス(微粒子)を捕集・燃焼する装置ですが、短距離走行ばかりだと自動再生が行われず詰まりやすくなります。
DPF詰まりが起きやすい状況
- 走行距離が短い(10km未満の移動が多い)
- エンジンが高温になる前に停止してしまう
- 市街地のストップ&ゴーが多い
DPFが詰まると警告灯が点灯し、
- 燃費悪化
- エンジン出力低下
- 修理費用(洗浄:2〜5万円/交換:10万円以上) といったトラブルが発生します。
環境規制の強化で将来的に規制対象になる可能性
世界中で脱炭素化が進む中、ディーゼル車に対する規制も強化の方向にあります。
各国・地域の動き(例)
- 欧州連合(EU):2035年にディーゼル含む内燃機関車の新車販売を禁止
- 日本:東京都が2030年までに都内全域でガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する方針
- カリフォルニア州:2035年以降、ガソリン・ディーゼル新車の販売禁止
こうした規制により、
- 下取り価格の低下
- 維持コストの増加(税制強化など)
- 長期保有リスクの増大 といった影響が懸念されます。購入前に将来的な社会の変化も視野に入れる必要があります。
騒音と振動が大きく、乗り心地が悪い
ディーゼルエンジンは構造上、ガソリン車よりもエンジン音や振動が大きく、静粛性や快適性に欠ける点がデメリットです。 とくに低速走行やアイドリング中は「ガラガラ」といった音が気になりやすく、住宅街での早朝や深夜の走行に配慮が求められます。 また、エンジンの振動がハンドルや車体に伝わることがあり、長時間の運転では疲労感につながるケースもあります。 最新モデルでは騒音対策や遮音性が向上している車種もありますが、それでもガソリン車の静粛性には及ばないという声が多く見られます。 このため、家族や同乗者の快適性を重視する方にとっては大きなマイナスポイントとなる可能性があります。
軽油価格の変動リスクと燃料代の影響
軽油はガソリンよりも安いイメージがありますが、近年は価格が高騰傾向にあり、地域差も大きくなっています。 とくに寒冷地や観光地、高速道路沿いのスタンドでは軽油価格がガソリンと大差ない、または逆転しているケースも見られます。 また、軽油には冬場に凍結しやすい特性があるため、寒冷地仕様の「冬用軽油」が必要となり、価格や取り扱いにも注意が必要です。 燃費性能が良くても、軽油価格の変動によってトータルの燃料コストが不安定になるため、予算管理に影響を与える可能性があります。 定期的に走るルートや地域の燃料事情を確認しておくことが、賢い選択につながります。
ディーゼル車のメリットとは?
ディーゼル車にネガティブなイメージを抱いていても、実は隠れたメリットもたくさんあります。 「本当に損なのか?」「自分の使い方には合っているのでは?」 そんな疑問に答えるために、ディーゼル車の強みをしっかり見ていきましょう。
燃費が良く、長距離走行に向いている
ディーゼルエンジンは燃費効率が高く、ガソリン車と比べて燃料消費が少なく済むのが特徴です。 特に高速道路など一定速度での走行が多い場合、その効果は顕著に現れます。
ガソリン車との燃費比較(概算)
車種タイプ | ガソリン車 | ディーゼル車 |
---|---|---|
コンパクトカー | 約15km/L | 約20km/L |
SUV | 約10km/L | 約14km/L |
トラック | 約5km/L | 約8km/L |
また、満タン1回あたりの航続距離も長く、 「給油回数を減らせる」という点でも利便性が高いです。
トルクが強く、積載量の多い車に最適
ディーゼルエンジンは低回転域から力強いトルクを発生するため、 以下のような場面で力を発揮します:
- 大型の荷物を積んだとき
- 坂道での発進や登坂
- 牽引が必要なキャンピングカーやボートトレーラーの運転
とくに商用車やSUVなど、荷重がかかりやすい車種ではディーゼルのトルク性能が大きなメリットになります。
耐久性が高く、エンジン寿命が長い
ディーゼルエンジンはもともと業務用・商用を前提として作られているため、 耐久性に優れています。主な特徴は以下のとおりです:
- エンジン内部の部品が厚く丈夫に設計されている
- 圧縮比が高く、効率的な燃焼が行える
- 適切なメンテナンスを行えば30万km以上走るケースもある
このため、長く1台の車に乗り続けたいという方にも向いています。
高速道路走行時の経済性が優れている
高速走行ではエンジン回転数が安定し、ディーゼルの燃費性能がさらに際立ちます。 また、次のような点で経済的です:
- 一定速度走行に強く、燃料消費が最小限
- ターボチャージャーの効率が高まる
- 長距離走行における燃料代節約につながる
営業車や高速道路利用が多いユーザーには、ガソリン車以上のコストメリットを感じられるでしょう。
ディーゼル車のメンテナンスで注意すべきポイント
購入後に後悔しないためには、維持や管理についての知識が欠かせません。 「聞いてなかった…」なんてことにならないよう、あらかじめ知っておきたい注意点をまとめました。
DPF(ディーゼル微粒子フィルター)の定期メンテナンス
DPF(Diesel Particulate Filter)は、排ガスに含まれる微粒子(スス)を捕集・燃焼するための装置です。 ススが溜まりすぎると詰まり、エンジンの出力低下や燃費悪化、最悪の場合はエンジン停止のリスクもあります。
DPFのメンテナンスポイント
- 自動再生(走行中の高温燃焼)でススを除去:主に高速走行で有効
- 手動再生や洗浄が必要な場合:走行距離が短い方は特に注意
- 再生警告灯の点灯を見逃さない
状態 | 対応 | 費用の目安 |
---|---|---|
軽度の詰まり | 強制再生(ディーラー等で) | 約5,000〜10,000円 |
中度〜重度の詰まり | DPF洗浄 | 約2〜5万円 |
完全な詰まり・破損 | DPF交換 | 10〜20万円以上 |
アドブルー(尿素水)の補充が必要な車種
クリーンディーゼル車の多くは、SCR(選択触媒還元)システムを採用しており、アドブルー(尿素水)が必要です。 これは、NOx(窒素酸化物)を分解して水と窒素に変える役割を担っています。
補充に関する注意点
- 走行可能距離に応じて定期補充が必要(通常5,000〜15,000km)
- 空になるとエンジンがかからなくなる車種もあり注意が必要
- 一般的な価格:1Lあたり100〜200円、10L単位で販売されていることが多い
エンジンオイル交換の頻度がガソリン車より多い
ディーゼルエンジンは燃焼効率が高い一方で、ススや未燃焼燃料がエンジンオイルに混入しやすく、オイルの劣化が早い傾向にあります。
目安となる交換サイクル
- ガソリン車:10,000〜15,000km
- ディーゼル車:5,000〜8,000km(または半年ごと)
エンジンの寿命を延ばすためにも、メーカー推奨の頻度よりもやや早めの交換が望ましいとされています。
寒冷地での始動性の問題と対策
ディーゼル車は、ガソリン車と比べて低温環境での始動が苦手です。 これは、ディーゼルエンジンが高圧縮による自己着火方式を採用しており、寒い環境では燃料が気化しにくくなるためです。
寒冷地での対策例
- プレヒーター(グロープラグ)の使用
- 冬用軽油(凍結防止成分配合)の利用
- エンジンスタート支援機能のある車種を選ぶ
- 夜間はエンジンをかけやすいよう屋内や温かい場所に駐車する
こうした対策を講じることで、寒冷地でも安定した運転が可能になります。
ディーゼル車はどんな人に向いている?
「自分にとって本当にディーゼル車は合っているの?」 そう迷っている方に向けて、どんなライフスタイルや使用環境に向いているかを整理しました。
長距離を走ることが多い人
日常的に通勤や営業、物流業務などで長距離を走行する人にとっては、ディーゼル車の高燃費性能が大きなメリットになります。 ガソリン車に比べて1Lあたりの走行距離が長いため、給油回数が減り、燃料代の節約につながります。
こんな人におすすめ
- 毎日の通勤が片道30km以上ある方
- 地方や郊外に住んでいて車移動が多い人
- 月間走行距離が1,000km以上の営業職や配達員
トラックやSUVを多用するドライバー
ディーゼルエンジンは、低速トルクが太く、荷物をたくさん積んでいても力強く走れるのが特徴です。 舗装されていない道路や急な坂道、雪道などでも安定した走行性能を発揮します。
メリットのある場面例
- 建築現場や山道などの悪路を頻繁に走る仕事車
- キャンプやレジャーで山道を走るSUVユーザー
- 引越し業や重量貨物を扱う運送ドライバー
また、4WDとの相性も良いため、オフロード性能を重視する人にも適しています。
燃費とパワーを重視する人
「燃費の良さも欲しいけど、走行性能にも妥協したくない」という人にはディーゼル車が適しています。 特に中型以上の車両では、ディーゼルのトルクフルな加速と燃費効率が両立しており、ストレスのない運転が可能です。
ガソリン車と比較したディーゼルの魅力
- 高速合流や追い越し時の加速がスムーズ
- 長距離移動でも燃料コストが抑えられる
- 大型車でも走りが重くならない
燃費とパワーの“いいとこ取り”をしたい方にとって、ディーゼル車は非常に魅力的な選択肢です。
ディーゼル車を選ぶ前に考えるべきこと
車は安い買い物ではありません。 「思ってたのと違った」と後悔しないために、今一度自分のニーズを見つめ直してみましょう。
メリット・デメリットを理解して後悔しない選択を
ディーゼル車には明確なメリットもあれば、環境規制や維持費といったデメリットも存在します。 購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、良い面だけでなく悪い面にも目を向けて、自分の生活スタイルに本当に合っているかを見極めることが重要です。
チェックすべき判断ポイント
- 通勤・通学・業務などの走行距離は多いか?
- 市街地中心なのか、高速や郊外の走行が多いか?
- 車の静粛性・快適性はどれだけ重視するか?
- 今後も長く乗り続ける予定があるか?
これらを考慮することで、後悔の少ない選択につながります。
走行距離や用途に応じて最適な車種を選ぶ
車の選び方は、その人の使い方次第で大きく変わります。 ディーゼル車は長距離走行や積載量の多い業務用途に強みがありますが、すべての人に向いているわけではありません。
用途別のおすすめ車種の一例
走行スタイル | 向いている車種 | 理由 |
---|---|---|
毎日10km未満の近距離通勤 | ガソリン車・ハイブリッド | DPF詰まりを防げる・静かで快適 |
月に1,000km以上走行 | ディーゼル車 | 燃費が良く長距離に強い |
荷物を多く積む配送業 | ディーゼル車(バン・トラック) | トルクが強く積載に向く |
静音性重視・家族利用 | ガソリン車・PHEV | エンジン音や振動が少ない |
まずは「自分がどんな使い方をしているか」を洗い出し、そのうえで適した車種を選ぶことが、納得のいく購入への第一歩です。
ディーゼル車の将来性について
「この先、ディーゼル車はどうなるの?」 そんな将来への不安を抱えている方に向けて、今後の展望や社会の動きについて詳しく整理します。
現在、自動車業界では世界的なEV(電気自動車)シフトが進んでおり、国を挙げてディーゼル車を含む内燃機関車からの脱却が進められています。これは、地球温暖化防止や大気汚染の抑制といった環境保全を目的とした大きな流れです。
今後予想される動き
- 2030〜2035年を目途に、多くの国でディーゼル車の新車販売が禁止(EU、日本、カリフォルニア州など)
- 環境性能に応じた自動車税制の改定により、ディーゼル車は税負担が重くなる可能性がある
- 都市部での乗り入れ規制(ディーゼル車の進入禁止区域の拡大など)
また、企業の配送車や自治体の公用車においても、EVやハイブリッド車への転換が進んでおり、中古市場でのディーゼル車の価値も徐々に低下し始めています。
ユーザーが注意すべき点
- 長期保有を予定している場合、将来的に維持費が増大する可能性がある
- 中古で売却する際に、買い手が限られ査定額が下がるリスクがある
- 自治体によっては補助金対象から外れることもある
その一方で、重積載や長距離運転を頻繁に行う用途では、EVがまだ追いついていない部分もあり、一定のニーズは継続されると見られています。 購入を検討する際は、5年後・10年後の社会的・経済的変化も見据えた上で選択することが求められます。
ディーゼル車を買って後悔した人の口コミや体験談
実際に購入した人の声は、とても参考になります。 「こういう落とし穴があったのか」と気づくきっかけになるかもしれません。 リアルな体験談を見て、自分にとって本当に向いているかどうかを判断してみてください。
後悔している人の声
- 「DPFの詰まりが想像以上に頻発して、年に何度もディーラーに持ち込んでいます。短距離通勤が多い人には本当に向かないと思う」(40代男性・東京都)
- 「燃料代が安くなると期待して購入しましたが、軽油の高騰とDPF清掃費でトータルは思ったほど安くならなかったです」(30代女性・愛知県)
- 「エンジンの振動と音が想像以上に大きく、家族から『うるさい』と不評でした。静かな車が好みの人には不向きかもしれません」(50代男性・神奈川県)
満足している人の声
- 「長距離移動が多い仕事なので、ガソリン車から乗り換えたら給油回数が減り、燃費の良さを実感しています」(40代男性・大阪府)
- 「SUVに乗っていますが、坂道も余裕で登るし、トルクが太くて頼れる感じがします。高速も快適で運転が楽しいです」(30代女性・北海道)
- 「トラックで配送業をしており、積載量が多くてもしっかり走ってくれるディーゼル車はやっぱり仕事向きだと感じています」(50代男性・福岡県)
まとめ
ディーゼル車には、確かに維持費や環境規制などのデメリットがありますが、長距離走行や積載重視の使い方には強みがあります。 購入前に自分の用途を見直し、後悔のない選択をしましょう。