おうち時間が増えた今日この頃。
ネット通販や宅配を利用する方が多くなり、物流業界は今、とても需要が高まっています。
そんな中、物流業界の仕事について興味を持たれる方も多いのではないでしょうか。
今回は、数ある仕事の中でも「物流事務」ってどんな仕事なんだろう?
「環境がよくない」「大変」みたいなイメージがあるけど、実際はどうなの?
物流事務になるには資格が必要なの?と思っている方に、物流事務を約6年経験した私から、体験談や実態についてお話していきます。
この記事を読めば、「物流事務」にチャレンジしてみたいと思えるかもしれませんよ。
物流事務は向いていないと長くは続きません。
向き不向きは性格診断テストで調べることができます。
応募する前に必ずチェックすることをおすすめします。
物流事務の業務内容や1日の流れ
「物流事務」には大きく分けて2種類あります。
一つ目は「本社勤務」の仕事、二つ目は「現場(物流倉庫)勤務」の仕事です。
私は約6年間「本社勤務」の仕事でしたので、今回はこちらをメインに書いていきたいと思います。
「現場勤務」の仕事も、研修の一部で経験がありますので、少しだけお話していきます。
まず、「本社勤務」の業務内容についてです。
私の勤務していた部署である「情報システム部」の例をご紹介します。
<業務内容>
1.社内のネットワークの構築・保守
2.各種トラブル対応
3.新しい案件へのシステムの提案
4.新しい物流倉庫に向けたシステムの構築
5.今ある仕組みの点検・改善
なんだか難しい言葉が並んでいますね。
まとめると、「会社の中の情報システムに関わる全ての業務を任されている」といった感じでしょうか。
例えば、「メールが開かないんだけど…」という電話がきて対応したり、物流倉庫から「データが送信されない」などのトラブルの問い合わせがあったりして、それぞれに対応します。
また、営業さんが取ってきた新しい仕事について、システム面での提案を作ったり、実際にお客様に提案しに行ったりといった仕事もあります。
物流センターが新しくできる時には現地に行って、システムがちゃんと動くかどうかをチェックしたり、問題があれば対応したりすることもあります。
≪一日の流れ≫
担当している仕事によって、一日の流れは全く異なります。
ここでは、社内ネットワークを担当する仕事の例を書いていきます。
【例】
8:30 出勤、朝礼
9:00 メールチェック、社内ネットワークの保守対応
10:00 新しい仕組みの導入について打ち合わせ
12:00 休憩
13:00 定例会議
14:00 打ち合わせ結果をまとめ、資料作成
16:00 上司へ報告、資料の修正
17:30 退勤
時間が決まっている仕事というよりは、その時々の問い合わせや打ち合わせに対応していくといった流れになっています。
「物流事務」というよりは、他の企業の一般事務とほとんど変わらない業務内容もありますね。
どの企業にも必ず必要な、共通する事務仕事(総務・人事・経理・営業・情報など)というのは多くありますので、ある意味では、経験しておけば他の企業でも役に立つ仕事でもあります。
では次に、「現場勤務」の仕事についてお話します。
<業務内容>
1.入荷・出荷予定リストの確認
2.入荷データ入力や伝票作成
3.お客様やドライバーさんの対応
4.出荷データの入力や伝票作成
≪一日の流れ≫
【例】
9:00 出勤
9:30 その日の入荷・出荷予定を確認して、ピッキングリストなど帳票の出力
10:00 お客様とのやり取りや、データ入力、作業進捗の確認など
12:00 休憩
13:00 午後の作業予定の確認、伝票の作成やデータ入力
17:00 翌日の準備、売り上げの集計など
18:00 退勤
こちらは、物流倉庫で働く方々がスムーズに業務を行うことができるようにサポートする仕事がメインとなっています。
作業が滞らないように、効率的に仕事を行っていくことがとても大事です。
同じ場所で働くパートさんやドライバーさんとのコミュニケーションも良い仕事をするためには欠かせません。
物流事務に必要な資格や求められるスキルとは
物流事務に「これは必ず必要」という資格は特にありません。
なくても仕事はできますが、あったらより仕事をしやすい資格についてお話していきます。
・普通自動車免許
⇒ 必要なものを買い出しに行ったり、他の物流倉庫と行き来したりするために、あれば便利です。
・パソコン関連の資格
⇒ 事務仕事にパソコンは必須なので、MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)など、持っていたら就職に有利かもしれません。
次に、物流事務に求められるスキルは、私の体験上「パソコンが使えること」と「コミュニケーション能力」の二つです。
それぞれの部門ごとに求められる知識は違いますが、部門特有の知識や、物流の知識は、入社してからでも大丈夫です。
私は実際に、内定者時代の研修で少し学んだ程度でした。
では、必要なスキルの内容を見てみましょう。
・パソコンが使える
⇒ 今や使えるのが当たり前のパソコン、仕事において必要不可欠です。
そこまで高い技術は必要ありませんが、Word・Excel・PowerPointくらいは使えると、仕事に慣れるのが早いかもしれませんね。
・コミュニケーション能力
⇒ これは必須です。
先ほどから書いている通り、物流事務はいろいろな人と関わり、うまく関係を築いていくことでスムーズに仕事ができます。
学生時代からいろいろな人との関わりを持つなどコミュニケーション能力を高めていくことをおすすめします。
物流事務に限らず、このスキルは人生を豊かにしてくれますよ!
さらに求めるならば、「効率よく仕事をする力」や「イレギュラーに臨機応変に対応できる力」もあるといいですが、こちらは仕事をはじめてから、経験の中でも身につけることができます。
・効率よく仕事をする力
⇒ 特に現場の物流事務は、時間通りにドライバーを出発させ、パートさんたちを待たせることなく作業リストを作成し、お客様に求められるデータを毎日欠かさず送信するなど、多くの仕事を時間内に行う必要があります。
自分でスケジュールを管理し、効率的に仕事をすることを求められます。
・臨機応変にイレギュラーに対応できる力
⇒ マニュアル通りにいかないことも多く発生する物流の仕事。
配送中の事故や渋滞、お客様からのクレーム、データの不具合…そういったときにも、冷静に対応していく力が必要となります。
物流事務の仕事はしんどい?
結論から言うと、「しんどいときもある」です。
人によってどこからそう感じるかは様々ですし、どんな仕事でも必ずしんどい時はあります。
私もしんどい時がありましたが、物流事務だから…という理由ではありませんでした。
コミュニケーションが苦手な方は、多くの人と接しなければならないことにしんどさを感じるでしょうし、きれい好きな方は、あまり環境の良くない倉庫で働くとしんどいかもしれません。
プライベートを大事にしている人は、365日稼働の物流センターなどに勤務すると、お休みの少なさにストレスを感じるかもしれませんね。
それでも、しんどさを乗り越えて仕事を続けられる人は、仕事に誇りを持てたり、やりがいや自分のやりたいこと、なりたい将来像が見えていたりする人なのだと、私は感じました。
物流事務は難しい
物流事務は、基本的な事務仕事ができる人ならそんなに難しくないでしょう。
パソコンを使う場合は、ワードやエクセルなどの簡単なパソコン操作ができれば大丈夫。
あとは、電話対応や来客対応などもすることがあります。
物流のお仕事は、人と関わる仕事になるので、コミュニケーションが上手にとれる人の方が好まれますね。
社外の人とも社内の人ともうまく付き合えるのがポイント。
人と付き合うのが苦手な人にとっては難しいと感じるかもしれません。
物流事務を覚えられない時のコツとは
物流事務を覚えられない時のコツですが、最初はどうしても覚えることが多いので全てメモして何度も確認しながら仕事をしました。
慣れてくるまでは、取引先の名前や地名、社内のドライバーのことも何もかも覚えるのが大変。
わからないことは上司に確認して、ミスのないようにします。
不安なことはなんでも確認することが大事。付箋やメモ帳、ノートをうまく使いながら自分でとにかく書き込んで覚えました。
あとは、自分ひとりで全てしようと思わないで、仕事を覚えるまでは同僚や上司に協力してもらえることはお願いすることですね。
物流事務に向いている人、向いていない人とは
物流事務を経験してきた中で、私なりに向いている人、向いていない人について考えてみました。
「向いていない」に当てはまってもあきらめることはありません。
直そうという意欲があり、努力する人なら、「向いている」になれる可能性は十分にあります。
向いている人
・人と話すのが好きな人
・いろいろな人の意見に耳を傾けられる人
・(現場事務)同じ仕事を正確に行うのが得意な人
・(本社事務)新しい仕組みを考えたり、今あるものをより良くするために考え、行動できる人
・イレギュラーに動じない冷静さを持っている人
向いていない人
・人と話すのが苦手な人
・自分のことばかりで、周りの事に気配りできない人
・いつもおしゃれを気にしていて、キレイな環境じゃなきゃダメな人
・頭でっかちで行動できない人
物流事務を体験した実際の口コミや評判
物流事務として働いていたときに聞いた話や、私の体験からお話していきます。
まずはポジティブな意見から。
・物流のこと、世の中の仕組みがよく分かる。
自分が配送に関わった商品がお店に並んでいるのを見て、やりがいを感じる。
・人手不足で需要があるため、安定している。
・いろいろな人とつながることができて、人脈が広がるのが楽しい。
・子育てしやすい。
産休や育休を取ったり、時短勤務などで対応してくれるので長く働ける。
次にネガティブな意見。
残念ながら辞めてしまったり、不満を抱えながら仕事をしたりしている人のリアルな声です。
・本当は本社勤務を希望していたのに、現場に配属となり、思い描いていた仕事ができずに辞めてしまった。
・仕事の割に待遇が悪い、給与が低い。
・休日も電話がかかってきたり、対応したりしてプライベートが無くしんどい。
・上司が厳しい。
物流事務ならではの意見もあれば、どこの会社でもありそうなものもありますね。
物流事務(30代後半女性)の給料や年収などについてはこちらの記事で詳しくまとめていますのでぜひご覧ください。
🔗物流事務(30代後半女性)の給料や年収はいくら?志望動機や仕事を覚えられない時の対処法とは!
物流事務のストレスや辞めたい理由とは
ここ最近の大学卒業3年以内の離職率は3割を超えており、10人に3人以上が辞めている計算になります。
そんな状況もあり、最近では、メンタルヘルスが重要視され、私のいた会社も定期的にストレスチェックをしたり、相談窓口が設置されたりしています。
私が物流事務として働いた約6年間に出会った人たちの例をご紹介しながら、物流事務のストレスや辞める理由についてお話していきます。
・低賃金
これは企業によって大きく変わってきますが、私のいた会社では多くの社員がこの悩みを抱えていました。
よりよい条件を求めて転職活動をして退職していく人もいましたね。
・人間関係
物流事務に限らずですが、人間関係に悩まされる人は多かったです。
上司によるパワハラとも取れる仕事の指示や叱責、同僚とのライバル関係、お客様や現場のパートさんとの関係など、多くの人と関わる仕事なだけに、少しでも関係にひびが入ると仕事がやりにくくなってしまいます。
・休みが少ない、土日も出勤あり、残業が多い
最近では法律の改正もあり、有休を必ず取るようになっているようですが、土日も稼働している物流の世界では、未だに休みが少ないと感じる人が多いようです。
また、物流センターの荷物量が多くなる繁忙期には、どうしても残業が多くなってしまうことがあります。
あまり仕事ばかりの生活になってしまうのはきついですね。
物流事務はやめとけ?
物流事務は、会社の規模により忙しさが半端ないというような場合もあります。
めちゃくちゃ忙しくてハードな仕事なら、やめとけって感じですよね。
最近は、ネット通販や翌日配送など色々なサービスがでてきているので、物流はハードで人手不足といった会社もあります。
物流事務の仕事内容をきちんと確認して、自分の考えている仕事量なのかどうかを判断することがポイント。
物流といっても、会社の中身は色々あるので、あまりにも過酷な労働環境はやめとけって感じです。
物流事務をやるなら正社員とパートどっち?
物流事務、正社員とパートどちらがよいのかは、働き方によって変わってきます。
給料がたくさんほしいなら正社員がいいでしょう。
さらに、正社員は責任ある仕事を任せてもらえることもあり、向上心の高い人にぴったり。
ただ、物流会社は本当に忙しいので、正社員で責任ある仕事を任されれば残業やハードな仕事が増えてくるかも…。
子育て中の主婦ならパートの方がおすすめです。
仕事と育児や家事を両立したい、お休みもほしい、そういった希望を事前に相談できるのもパートの方かもしれません。
物流事務の仕事の将来性について
物流事務が活躍する「物流業界」は、世の中のモノの流れを担うため、なくてはならない業界であり、今後なくなることはない業界でもあります。
そのため、安定性が抜群です。
また、すべての人にとって、おうち時間が増えた今、宅配の需要が非常に高まっています。
何でもネットで購入できる時代、この流れはしばらく続くと考えられますので、物流の業界もこれから拡大していくことが予想されます。
そんな物流業界において、そこで働く物流事務もこれから需要が高まってきます。
将来的にAIにとって代わられる仕事が多いと言う話もよく聞きますが、前述の通り、物流事務の仕事は「多くの人とのコミュニケーション」なくては成り立ちません。
AIにはできない、細やかな気配りや人間関係の構築が必要なのです。
物流事務は、拡大する物流業界において、これからも成長し続ける仕事であると考えます。
まとめ
物流事務の仕事は、必要な資格がないので、ある意味誰でもチャレンジできる仕事です。
もちろん大変な時もありますが、どの仕事にもしんどい時はあります。
物流事務の仕事を通して、自分なりのやりがいやなりたいものを見つけていけば、しんどさは乗り越えられます。
少しでも興味がわいたら、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。