就職や転職、スキルアップの第一歩として人気の高い「簿記3級」。企業の会計業務の基本を学べる資格として注目されていますが、実際に勉強を始めてみると「意外と難しい…」「全然わからない…」と感じる人も少なくありません。
ネット上でも「簿記3級 難しい」という声は多く、独学での限界や試験内容の難化などに戸惑う人が増えています。本記事では、簿記3級が「難しい」と感じられる理由や、初心者がつまずきやすいポイント、そして合格するための具体的な対策を、実体験や最新の傾向を踏まえて詳しく解説します。
簿記3級が「難しい」と感じる理由
簿記3級は「初心者向け」と言われながらも、実際に挑戦してみると「思っていたよりも難しい」と感じる人が多いのが現実です。では、どこでつまずくのか？なぜ難しく感じるのか？その背景には複数の要因があります。
専門用語に馴染みがない
「仕訳」「貸方・借方」「勘定科目」など、簿記では日常では使わない専門用語が多く登場します。
用語の意味を理解しないまま問題に進もうとすると、すぐに混乱してしまい、「何をしているのかわからない」と感じる原因になります。
特に文系・理系問わず、初めて会計に触れる人にとっては、この“言葉の壁”が難しさの第一関門です。
計算よりも“ルール理解”が重要
簿記3級では、「暗算や数字のスピード」よりも、取引のルールや仕訳の流れを理解する力が求められます。単なる足し引きではなく、「なぜそうなるのか」を理屈で考える必要があり、数学が得意な人でもルール理解に苦労するケースは少なくありません。
そのため、計算に自信がある人でも、油断すると意外につまずくのが簿記の特徴です。
試験形式と時間配分の難しさ
簿記3級の試験は制限時間60分。
問題の量が多く、素早く正確に処理する力も問われます。
特に第3問（試算表や精算表など）では、一つのミスが連鎖して大きく減点されることもあり、プレッシャーを感じやすいです。
試験本番では、時間との戦いになるため、知識だけでなく実践的な問題演習が合格のカギとなります。
独学と通信・通学の違いは？
簿記3級を目指す方法としては、大きく分けて「独学」「通信講座」「通学（資格学校）」の3つがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、自分の性格や環境に合った選択が合格率を左右します。
独学はコスパ最強だが挫折率も高い
参考書や問題集を自分で買って勉強する独学は、費用が最も安く済む方法です。1,000円台から始められるテキストも多く、時間の自由度も高いため、社会人や学生に人気です。
しかし一方で、わからない点を質問できる相手がいないため、途中で行き詰まって挫折するリスクも高いのが実情です。特に、会計の知識が全くない人にとっては「最初のハードル」が非常に高く感じられます。
通信講座はバランスが取りやすい
最近は「スタディング」や「クレアール」など、低価格かつスマホで学べる通信講座が人気です。
動画解説とオンライン問題集を組み合わせた形式で、独学の自由さとスクールの分かりやすさの中間のようなスタイルが特徴です。
質問対応や進捗管理などのサポートがある講座もあり、時間がないけど確実に合格したい人に向いています。
通学は費用が高めだが確実性あり
資格学校に通う「通学型」は、講師の直接指導を受けられる安心感があり、短期集中で一気に仕上げたい人に適しています。講義後の質問や模試など、サポート体制がしっかりしているのも魅力です。
ただし、費用は3〜5万円以上が一般的であり、時間の拘束もあるため、仕事や学業との両立が難しい人には不向きかもしれません。
合格率や試験の難化傾向は？
「簿記3級は昔より難しくなった」との声もありますが、実際にはどの程度の合格率なのでしょうか？
また、試験の傾向は変わってきているのでしょうか？この章では、最新の試験情報を踏まえつつ、難易度の実情を見ていきます。
合格率は平均30〜50％前後
日商簿記3級の合格率は、回によってバラつきがありますが、30〜50％程度が一般的です。
試験によっては60％を超える回もあれば、20％台に落ち込むこともあります。つまり、「簡単な回もあれば、難しい回もある」というのが実情です。
2021年からネット試験も導入
近年は「CBT（ネット試験）」形式が導入され、好きな日・好きな会場で受けられるようになりました。
これは社会人や忙しい人にとって大きなメリットですが、一方で記述形式から選択形式への変化もあり、「問題の傾向が読みにくい」との声も出ています。
難化しているのは“仕訳力”
近年の出題では、特に「仕訳力（取引を勘定科目に変換する力）」がより重視されるようになっています。単に暗記するだけでなく、応用的な取引への対応力が問われる問題も増えており、「知識の丸暗記」では太刀打ちできないケースも。
合格するために必要な勉強法とは？
難しさを感じながらも、正しいやり方で継続すれば簿記3級はしっかり合格できる資格です。この章では、初心者でも無理なく合格を目指せる勉強法を3つの視点から紹介します。
インプットとアウトプットのバランス
最初はテキストや講義で**用語とルールをしっかり理解する（インプット）**ことが大切ですが、それだけでは不十分です。理解した内容を実際に問題演習で使ってみる（アウトプット）ことが、合格には不可欠です。
理解 → 演習 → 解説確認 → 再演習のサイクルを意識して回すことで、知識が定着します。
「仕訳演習」は毎日こなす
簿記の基礎であり、試験の得点源でもある仕訳問題は、毎日少しずつ練習することが最も効果的です。
10問でもいいので、ルーティン化することで自然に取引の理解が深まります。
試験形式に慣れておく
60分という試験時間を意識して、過去問や予想問題での模擬演習を繰り返すことも重要です。
特に試算表・精算表は時間がかかるため、早く・正確に処理する練習が必要になります。
簿記3級はどんな人に向いている？
最後に、簿記3級の勉強がどんな人に向いているのか、また「向いていないけれど挑戦したい」人がどうすればよいのかについて整理します。
コツコツ型・ルールを守るのが得意な人
簿記は「ひらめき」よりも「地道な積み重ね」が重要な分野です。コツコツ勉強を進められる人、きっちりルールを覚えるのが得意な人には非常に向いています。逆に、直感や自由な発想で学ぶのが好きな人にはやや退屈に感じるかもしれません。
数字に苦手意識がなければOK
簿記は「数字を扱うから難しそう」と思われがちですが、高度な数学は不要です。四則演算（足し算・引き算）ができれば十分対応できます。むしろ、計算よりも考え方を整理できるかどうかが問われる資格です。
向いていなくても合格はできる
たとえ「向いていない」と感じても、正しい教材と学習計画さえあれば合格は十分可能です。最近は初心者向けのYouTube講座やアプリ教材も充実しており、自分のペースで無理なく学べる環境が整ってきています。
まとめ
簿記3級は「初心者向け」とされている一方、実際に取り組むと専門用語や独特のルールに戸惑うことも多く、「意外と難しい」と感じる試験です。しかし、正しい勉強法と継続力があれば、誰にでも合格のチャンスはあります。
重要なのは、自分に合った学習方法を選び、日々の仕訳演習や試験対策をコツコツ積み重ねること。そして、「難しそう」と感じたその瞬間こそが、成長の第一歩です。
将来のキャリアや自己成長に役立つ簿記3級。挑戦を迷っているなら、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。